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2階リビングの間取りは本当に暮らしやすい? 眺望・動線・家具搬入を3Dで検証

公開日

2階リビングを考えるときは、まず「1階では得にくく、2階だから得られるもの」が本当にあるかを見ます。空や遠景、道路からの視線の外れ方がはっきりしたら、同じ住宅の1階LDK案と比べながら、帰宅、買い物、ゴミ出し、家具搬入まで階段を含めて追っていきます。2階からの景色と、毎日一層分増える移動。その両方を同じ住宅で見ておくと、2階LDKを選ぶ理由がずっと具体的になります。

導入: 

2階リビングの案を3Dにすると、最初に目が行くのは窓の外です。

1階では道路や隣家の塀が近かった場所でも、一層上がると空が残る。周囲の条件によっては通行人との目線もずれ、窓まわりの印象がかなり変わります。2階リビングは、こうした採光や眺望、道路側からの視線距離を取りやすい点がよく挙げられる間取りです。

一方、キッチンもダイニングもリビングも2階へ上げると、暮らしの中心そのものが上へ移ります。

買い物から帰れば荷物を持って階段を上がる。キッチンで出たゴミは下へ運ぶ。宅配を受け取るなら玄関まで下りる。新しいソファや冷蔵庫を入れる日には、搬入経路の途中にも階段があります。

平面図に描かれた階段は一つでも、暮らしの中では何度も通る場所になります。

そこで今回は、この敷地で生活の中心を一階上へ持っていく価値が、日々増える上下移動に見合っているかを、1階LDK案と2階LDK案を行き来しながら見ていきます。

1|なぜ、この敷地で2階リビングにするのか

2階リビングにしたい理由は、敷地によってかなり違います。

道路との距離が近く、1階の大きな窓を開けると通行人の視線が気になる。隣家が近く、1階からは塀や駐車車両ばかり見える。目線を一層上げれば空や遠景が取れる。あるいは、1階を寝室や個室にまとめ、家族が集まる場所と静かに過ごす場所を上下で分けたい。

設計を始めるときは、「2階リビングにしたい」から少し離れて、1階で困っていることを先に見ます。

1階でも庭と十分につながり、外からの視線も抑えられているなら、LDKを上へ移す必要はそれほど強くないかもしれません。逆に、1階では道路や隣家の影響が大きく、2階へ上がることで座った位置から空が残るのであれば、そこには明確な理由があります。

今回の比較では、道路や周辺住宅から少し目線を外し、ソファやダイニングから空と遠景を取り込むことを2階LDKの目的に置きます。この目的を最初に決めておくと、あとで階段や搬入の負担が見えてきたときも、「それでも上へ持っていく価値があるか」と戻って考えられます。

2|同じ住宅で、1階LDK案と2階LDK案をつくる

2階リビング案だけをきれいに仕上げると、比較の基準がなくなります。窓から空が見え、家具も整った2階LDKを見れば、当然よく見えます。そこで一度、同じ住宅の1階LDK案へ戻ります。

建物外形、敷地、道路、隣家との関係、階段コアなど比較の土台を揃えたうえで、1階にLDKを置く案と2階へ上げる案を用意します。LDKを移動すれば開口や設備条件まで連動して変わるため、そこは「同じ条件」とは扱わず、変更点として残します。

Coohomでは複数階を持つ住宅モデルを作成できます。ここでは完成パースを先につくるより、両案にキッチン、ダイニング、ソファ、テレビ、主要収納まで置き、同じ順番で見比べられる状態を先につくります。

この段階で決めるのは採用案ではありません。1階案なら玄関からどこまで歩くのか。2階案になると、どこに階段が加わるのか。窓の高さが変わることで、座った目線から何が見えるようになるのか。後の検証で戻れる基準をつくっておきます。

 図1|同じ住宅で1F LDK案と2F LDK案を同じ条件から比較する

3|2階からの景色は、座っても残るか

2階へ上がると目線が高くなるため、窓際に立ったときの景色はよく見えやすい。けれど、窓際に立って外を見る時間より、ソファやダイニングに座って過ごす時間の方が長い家も多いはずです。

そこで眺望を見るときは、最初に1階と2階の座位を比べます。1F-SITでは道路、塀、隣家がどの程度視界に入るかを見る。同じ方向を向いた2F-SITでは、目線を一層上げたことで何が消え、何が残ったかを見ます。

2階案で隣家の屋根を越えて空や植栽、遠景が残るなら、その差は毎日の暮らしの中でも感じられます。反対に、窓際に立てば空が見えても、ソファへ座ると隣家の外壁が再び視界の中心に入るなら、「眺望のための2階リビング」という理由は少し弱くなります。

次に2階だけで立位と座位を比べます。Coohomではカメラの高さや向きを調整できるので、方向と画角をなるべく揃え、高さだけを変えると差を読みやすくなります。私は「2階の方が眺めがいい」とまとめるより、ソファに座ったとき、1階では見えなかった何が2階では見えているかまで言える状態にしたいと思っています。

 図2|1F-SIT・2F-STD・2F-SITを並べ、日常の目線で眺望を比べる

4|階段は、一日に何回暮らしへ入るか

2階リビングの負担を「階段がある」とだけ捉えると、少し曖昧です。気になるのは、その階段が生活のどの場面に入り込むかです。

玄関から帰ってきてLDKへ向かう。宅配を受け取る。来客を迎える。1階に洗面やランドリーがあれば家事でも上下する。子どもの個室を1階へ置くなら、帰宅後にどこで家族と顔を合わせるかも変わります。

ここでは、まだ荷物の重さまでは考えません。1階LDK案なら水平移動で済んでいた行為に、2階案では何回上下移動が加わるかを見ます。Coohomの3D Walkで玄関から階段へ入り、そのまま2階LDKまで歩くと、階段へ入る向きや上がり切った後の曲がりまで一続きで追えます。

階段が玄関近くにあり、上がり切った場所からLDKへすぐ入れるなら、同じ2階リビングでも動きは比較的単純です。玄関から階段まで歩き、さらに2階廊下を通るなら、一往復の距離は少しずつ長くなります

 図3|1F/2F LDKで、帰宅・買い物・ゴミ出しに階段が入る位置を比較する

5|買い物は上へ、ゴミは下へ運ぶ

同じ階段でも、空手で歩くときと荷物を持っているときでは感じ方が変わります。2階リビングの生活を想像するときは、買い物とゴミ出しを分けて見る方が分かりやすい。

買い物は外から中へ入り、荷物を上へ持っていく動きです。駐車位置や玄関から入り、階段を上がり、キッチンや冷蔵庫、パントリーまで運ぶ。米や飲料をまとめて買った日なら、階段の位置や上がった先の動線がかなり具体的に感じられます。

ゴミ出しは反対方向です。キッチンで分別したゴミを持って階段を下り、玄関から外へ出す。生ゴミだけでなく、段ボールやペットボトル、資源ゴミが重なる日は持つ物も大きくなります。

「階段が大変」で終えると間取りは変えにくいので、玄関、階段、キッチン、パントリー、ゴミ一時置場の位置を動かし、上下移動の前後を短くできるかまで見ます。

6|ソファと冷蔵庫は、2階までどう運ぶか

家具配置まで終わった2階LDKを見ると、つい「置けたから大丈夫」と思ってしまいます。そこで一度、家具を玄関側へ戻して考えます。

大きなソファ、冷蔵庫、ダイニングテーブルが、どうやって2階へ届くのか。玄関や通路だけでなく、階段幅、手すり、踊り場、天井高さ、建具が経路に入ります。折れ階段では、踊り場で家具の向きを変えられるかも気になります。

ここでCoohomを使う目的は、搬入可否を画面だけで決めることではありません。家具モデルを置き、玄関から階段、踊り場、2階入口まで3Dで追うと、「ここは図面で有効寸法を取り直したい」という場所を早めに拾えます。

特に見ておきたいのは、階段を上がり切ったところです。階段そのものは十分でも、2階で90度曲がり、その先の建具を通るところで搬入条件が厳しくなることがあります。実際の搬入判断は、家具本体と梱包寸法、階段の有効幅、手すり、踊り場、天井、建具、必要なら吊り上げ搬入まで製品資料や搬入条件へ戻します。B2で見ているのが「部屋で使えるか」なら、B8ではその前に「部屋まで届くか」を加えます。

 図4|ソファ・冷蔵庫・テーブルを2階まで運ぶ経路と転回点を確認する

7|2階の窓から、何が見えて、どこから見られるか

2階へ上がると、道路を歩く人との目線はずれやすくなります。1階ではカーテンを閉めたくなる窓でも、2階なら外からの視線を気にせず開けやすい住宅があります。

ただ、周囲の住宅も二階建てなら、今度は隣家の2階と高さが近くなります。道路からは見えにくくなったのに、正面や斜め向かいの窓とは目線が合う。きれいな正面パースだけでは見落としやすいところです。

そこで窓まわりは、室内から「何が見えるか」と、道路や隣家側から「どこまで見られるか」を同じ座位に戻して見ます。ソファ位置や窓高を少し動かすだけで、正面の空を残しながら隣家窓を視界の端へ外せる場合もあります。

採光については、ここで明暗だけを見て結論にはしません。2階へ上げることで周辺建物の影響が変わる可能性はありますが、窓、日射、遮蔽、断熱、空調は別の性能検討へ戻します。B8で見たいのは、生活する高さを一層上げたことで、景色と外部視線の関係がどう変わったかです。

 図5|2階の窓を、室内の眺望と道路・隣家からの視線の両側から見る

8|生活が変わったとき、1階をどう使えるか

2階リビングの話になると、「老後は階段が大変ではないか」という質問が出やすくなります。ただ、年齢だけで間取りを決めるのは少し早いと思います。

今でも、いつも空手で階段を使うわけではありません。買い物袋を持っている日もあれば、子どもの荷物、洗濯物、ペットを抱えて移動する時期もある。短期間だけ足を痛めることもあります。

そこで「20年後に階段を使えるか」を予想するより、1階にどんな余地が残っているかを一度見ます。予備室があるならベッドを置いてみる。近くにトイレや洗面があるか、玄関から無理なく移動できるかを見る。完全な1階生活に切り替えられなくても、体調が悪い時期に過ごせる場所として成立するかは考えられます。

Coohomでは今の個室を将来の寝室や小さな起居スペースとして家具だけ組み替えて比べられます。ただし、バリアフリー、階段、安全性、設備、昇降設備や改修可能性は正式な図面と専門的な検討へ戻します。「1階に何も残らない家」と「必要になれば生活を少し受け止められる家」では、2階リビングを選ぶときの見え方も変わります。

9|2階へ上げて得たものと、増えた条件を並べる

ここまで来たら、1階LDK案と2階LDK案をもう一度同じ表へ戻します。

判断

2階へ上げて得たこと

3Dで見えたこと

最後に戻す先

眺望

道路や塀を越えて空・遠景が残る

座位では立位より見える範囲が狭くなる

窓高・家具配置・立面

プライバシー

道路側との目線がずれる

隣家2階とは視線が近づく場所がある

窓位置・ガラス・外構

日常動線

寝室とLDKを上下で分けられる

帰宅や来客のたびに階段が入る

平面・階段・収納

買い物・ゴミ

キッチンを眺望のよい階へ置ける

荷物を持って上下する経路が増える

階段位置・キッチン配置

家具搬入

2階に広い公共空間をつくれる

階段上端や踊り場に搬入リスクがある

有効寸法・製品・搬入条件

将来

現在は公私を明確に分けられる

1階の予備室に一定の生活機能を残せる

平面・設備・将来改修

採光・温熱

周辺建物の影響が変わる

3Dでは光の見え方を共有できる

採光・日射・断熱・空調検討

この表でメリットの数を数えても、あまり意味はありません。

1階のソファからは道路や塀が強く見え、2階の座位では空と遠景がしっかり残る。階段からキッチンまでの距離も短く、大型家具の搬入経路にも大きな問題が見つからない。そこまで揃えば、「毎日一階上がる」という条件を受け入れて2階LDKを選ぶ理由が出てきます。

反対に、立位では景色がよくても座ると効果が薄く、買い物動線が長い。階段の曲がりで家具搬入も厳しい。さらに1階に将来使える余地もほとんどない。そうなれば、最初のきれいな2階パースから一度離れて考えた方がよさそうです。

Coohomはここまでの比較で、同じ住宅を歩き、家具を置き、視点を揃え、施主様と「何が違うか」を共有する可視化レイヤーとして使います。そのあと、階段寸法、構造、採光性能、断熱、設備、搬入条件といった正式な判断はCAD/BIM、性能資料、製品資料へ戻します。

 図6|Gain / Added Conditions / Returnで、2階LDKの価値と戻すべき設計条件を整理する

まとめ

2階リビングは、2階だけを見ると魅力が分かりやすい間取りです。空が見える。道路から視線が離れる。1階より窓まわりが軽く感じる。

それだけで決めると、暮らしの半分が抜け落ちます。玄関から階段を上がる。買い物をキッチンへ運ぶ。ゴミを下ろす。ソファや冷蔵庫を搬入する。生活が変わったときには、1階をどう使えるかも考える。

同じ住宅の1階LDK案と2階LDK案を並べ、家具を置き、同じ高さから窓を見て、玄関から実際に歩いてみる。そうすると、2階リビングが単なる「明るくて眺めのいい間取り」から、この敷地で選ぶ意味のある案なのかが見えてきます。

この敷地で2階へ上げて得られるものが、毎日の一層分の移動を上回るか。最後は、そこに戻って判断します。

次のアクション

2階リビング案があるなら、まず同じ住宅に1階LDK案を一つ残しておきます。そのうえでソファ座位から窓外を比べ、玄関からキッチンまで歩く。次に買い物袋を持っている場面を想定し、最後にソファか冷蔵庫を2階まで運ぶ経路を見る。この三つを同じ住宅で確認すると、2階へ上げる価値と生活側の負担がかなり具体的になります。

FAQ

2階リビングは1階より明るくなりますか?

周囲の建物や塀の影響を受けにくくなり、採光条件がよくなる住宅はありますが、2階というだけで決まるものではありません。方位、隣棟、窓、庇、日射条件まで含めて確認します。実際の性能判断は個別条件に戻す必要があります。

2階リビングで後悔しやすいのはどんなところですか?

階段の往復、大型家具・家電の搬入、家族の帰宅に気づきにくい動線、夏の日射・暑さなどが検討事項になります。ただし、同じ2階リビングでも階段やキッチンの位置で負担は変わります。間取り全体の動線として見る方が判断しやすくなります。

2階リビングへ大型ソファや冷蔵庫を運べますか?

階段幅だけでは判断できません。手すり、踊り場、天井高さ、曲がり、建具、梱包寸法まで関係します。3Dで気になる場所を拾い、最終的には製品寸法と現場・図面条件で確認します。

2階リビングは老後に不便になりますか?

家族構成や身体状況、1階に残す部屋や水回りによって条件は変わります。将来を一つに決め打ちするより、必要になったとき1階をどこまで生活に使えるかを設計段階で見ておく方が現実的です。

参考資料

・Coohom Help Center「フロアを追加する方法」

・Coohom Help Center「カメラ視点の調整方法」

・Coohom Help Center「How to Use 2D/3D View?」

・Coohom Help Center「モデルの基本操作一覧」

・Coohom Help Center「360°パノラマガイド」

・アイダ設計「二階リビングのメリット・デメリットについて徹底解説」

・重量木骨の家「2階リビングのメリット・デメリット 老後に後悔しない家のポイントを解説」

・KAGUHA / a.flat「家具搬入経路」関連ガイド