部屋別レイアウト・家具配置

収納と家電を間取りにどう納める? CAD平面・立面・3Dの確認方法

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収納と家電は、平面図に外形が入っただけでは確認不足です。持ち物と使用頻度を整理し、CAD平面で奥行・開閉・通路、立面/断面で高さ・梁・配線・放熱、3Dで取出し動作・突出し・体量を確認します。3Dで見つけた問題を家具図、設備図、電気図へ戻して初めて、実務上の検証が閉じます。

収納量は足りているのに、なぜ使いにくくなるのか

基本設計の打合せでは、「パントリーは何畳あるか」「収納は何間あるか」という話になりがちです。ところが実施設計に近づくと、別の問題が表に出ます。冷蔵庫の扉を開くと背後の通路が狭い。家電収納のフラップ扉と引出しが同時に使えない。吊戸棚は入るが、毎日使う食器を戻しにくい。梁下に納めた高収納が、入口から見ると想像以上に重い。いずれも収納量だけでは説明できない問題です。

私は収納を検討するとき、最初から「何リットル入るか」だけを追いません。本体が納まる、扉や引出しが動く、人が使える、家電を維持できるという状態を分けます。収納と家電は建築、家具、設備、電気の境界にあり、一枚の図面だけでは条件が揃わないからです。

 図1 収納と家電を、持ち物・平面・立面断面・3D・図面回写の5つの証拠で確認する流れ

先に分けるべき4つの判断

1.入るか:本体寸法と建築条件

最初は収納本体、冷蔵庫、電子レンジ、食器洗い機などの外形です。ただし、カタログ寸法をそのまま矩形にするだけでは足りません。巾木、見切り、取手、コンセント、給排水、梁、下がり天井、壁の不陸を含め、どこを施工寸法として扱うかを決めます。

2.開くか:扉・引出し・家電扉

開閉域は本体とは別の情報です。観音扉、片開き、引出し、フラップ扉、冷蔵庫扉は動きが異なります。さらに、扉だけでなく、その前に立つ人、取り出した物を一時的に置く場所まで必要になります。

3.使えるか:収納物と使用頻度

同じ棚でも、季節用品と毎日使う食器では適切な高さが違います。重い飲料を高所に置かない、炊飯器の蒸気を逃がす、ゴミ箱を引き出したまま作業できる、といった判断は収納物と動作から決まります。家具配置の一般的な「本体・動作・体感」の分け方は、前編の家具本体と動作範囲を実寸で検証する方法と共通していますが、本稿では収納内部、家電、立面条件まで踏み込みます。

4.維持できるか:放熱・換気・点検・交換

家電は置いた瞬間に検討が終わりません。メーカーが指定する上・左右・背面の空間、扉の最大開き、フィルター清掃、配管やプラグへのアクセス、交換時の搬出経路が必要です。ここは3Dモデルの見た目ではなく、採用候補の取扱説明書・据付説明書を正本にします。

Step 1|収納物を「頻度・重さ・補充単位」で整理する

収納計画は棚割から始めるより、物のリストから始めた方が手戻りを減らせます。私は少なくとも、誰が使うか、いつ使うか、何と一緒に使うか、一度にどの程度補充するかを確認します。たとえば食品ストックでも、毎朝使う物、週末に補充する物、災害備蓄では必要な位置が違います。

 図2 収納物を低頻度、毎日使用、重い物・まとめ買いに分け、使用者に合わせて高さを割り当てる立面図

「腰から目線の範囲なら使いやすい」という説明だけでは、実施設計の棚高さは決まりません。使用者の身長、腕の届き方、収納物の重量、容器の高さを実寸で確認し、棚板の厚みと可動範囲を加えます。高齢者や子どもが使う場所では、握力や踏み台の使用も含めて判断します。一律の人体寸法を正解にせず、最後は現物と動作へ戻すのが安全です。

Step 2|CAD平面で「奥行・開閉・通路」を重ねる

本体レイヤーだけでは、空いているように見える

2D CADでは、収納本体、家電、扉・引出し、放熱・保守、有効通路を別レイヤーにします。Jw_cadやAutoCADなら、表示を切り替えながら外形寸法と重なりを正確に追えます。住宅CADやBIMでも考え方は同じで、表示クラスやカテゴリを分けて、閉じた状態と使用中の状態を混ぜません。

 図3 収納本体、扉、引出し、冷蔵庫、放熱保守域と有効通路を別レイヤーで示したCAD平面の検証図

図の数値は検証用の一例です。重要なのは「通路850mm」のような単独寸法ではなく、扉を開き、引出しを出し、人が立ち、冷蔵庫を使う時間が重なったときの残り寸法です。通路幅の適否は計画条件、使用者、法規・社内基準により異なるため、記事中の例をそのまま標準値にはしません。

同時使用を一枚ずつ切り替える

全ての可動域を一度に表示すると図面が読みにくくなります。そこで「朝食」「買物後の収納」「片付け」「清掃」などの状態を分けます。CADの強みは、どの状態で何が重なったかを寸法とレイヤーで残せることです。3Dで違和感を見つけた後も、この平面へ戻れば設計変更を管理できます。

Step 3|立面・断面で「高さ・梁・家電条件」を確認する

平面図で納まったキャビネットも、立面と断面では別の問題を持ちます。吊戸棚の底高さ、家電カウンター、蒸気や放熱、冷蔵庫上部、梁下、巾木、コンセント、点検口を同じ図に重ねます。造作家具の内部は、棚板・金物・配線スペースを含む有効寸法で見ます。

 図4 高収納、家電収納、冷蔵庫、梁下収納を立面・断面で示し、放熱域、扉、配線を重ねた図

Vectorworks、Archicad、Revitなどで建築モデルと家具・設備情報を関連付けている場合、平面・立面・断面の変更を連動させやすい点が有利です。一方、キャビネット内部や特殊な造作形状を短時間で作るならSketchUpが扱いやすい場面もあります。どのツールでも、メーカー指定の放熱寸法や施工クリアランスをモデルが自動的に保証するわけではありません。

Step 4|Coohomでキャビネット・家電・内装の関係を3D確認する

まず、標準モデルを「検討モデル」として置く

CoohomではKitchen & Bathのカタログからベースキャビネット、ウォールキャビネット、トールキャビネットなどを配置し、パラメータパネルで寸法やスタイルを調整できます。公式ヘルプでは、キャビネットモデルの寸法調整、カウンター等の生成、内蔵家電に合わせた内部寸法の調整が案内されています。ここで大切なのは、標準モデルを最終製作図と見なさないことです。私はまず検討モデルとして置き、建築空間との関係を確認します。

 図5 Coohom上で内蔵家電モデルの幅・奥行・高さと床からの位置をパラメータ入力している公式操作画面(出典:Coohom Help Center。赤枠は公式画像内の注記)

次に、採用候補の家電寸法表から幅・奥行・高さを入力し、キャビネットとの突出し、隣接扉、壁際の開き方を見ます。モデルの外形が合っていても、取手、扉軌跡、コード位置、放熱域は不足することがあるため、CAD側の補助図形は残します。

内部寸法を変え、2Dと3Dを往復する

内蔵家電に合わせる場合は、既存モデルを選び、Customizeから内部寸法を調整し、2D/3D表示を切り替えて位置関係を確認できます。公開モデルやアカウント条件によって利用できる編集範囲が異なるため、操作前に現在のプランと権限を確認します。

 図6 CoohomのCustomize操作からキャビネット内部寸法の編集へ入る公式画面(出典:Coohom Help Center。赤枠は公式画像内の注記)


 図7 Coohomのカスタム家具編集画面で棚板寸法を調整し、2Dと3Dで確認する公式操作例(出典:Coohom Help Center。赤枠は公式画像内の注記)

扉を開いた状態で見る

3Dで最も有効だったのは、扉を閉じた完成像ではなく、開いた状態を確認することでした。Coohomのカスタムキャビネットでは、対応モデルで扉の開閉や開き方向を確認できます。入口、通常の立ち位置、家電前の三つの視点を固定すると、扉が視界を遮る位置と、通路へ張り出す位置を分けて説明できます。

 図8 Coohomのカスタムキャビネットで扉を開き、開き方向などの詳細パラメータを確認している公式操作画面(出典:Coohom Help Center。赤枠は公式画像内の注記)

ただし、扉が画面上で開くことは、実際の丁番、レール、耐荷重、指詰め、壁との干渉が成立した証明ではありません。3Dは問題を発見し、関係者と共有する画面として使い、金物選定と製作寸法は家具図・メーカー資料へ戻します。

実務例|収納量を減らさず、開閉の重なりを解く

Input

記事用の検証モデルとして、LDKの一面に奥行450mmの収納壁、奥行700mmの冷蔵庫、対面側に作業台を置きます。収納量、室寸法、家電数は固定し、扉形式と配置だけを比較します。数値は方法説明の仮条件であり、実案件の標準寸法ではありません。

Action

CAD平面では扉、引出し、冷蔵庫の開閉域を分けます。立面ではトールキャビネット、家電カウンター、冷蔵庫、梁下を確認します。Coohomではキャビネットと家電を同寸法に調整し、入口と作業位置のカメラを固定して、A案・B案を同条件で見ます。

Finding

A案は収納量が十分でも、片開き扉と引出しが通路上で重なり、冷蔵庫の突出しが入口から強く見えました。図面だけでも干渉は測れますが、3Dでは高い家電が視線の終点になり、収納壁全体が重く見えることが分かります。

Comparison/Change

B案では収納量を減らさず、引出し幅を分割し、開閉する時間と位置をずらします。冷蔵庫を収納壁の端部へまとめ、高い要素を分散させないようにしました。CADは重なりの解消、3Dは入口からの体量変化を、それぞれ別の証拠として示します。

 図9 同じ収納量と家電数のまま、扉形式と冷蔵庫位置を変更したA案B案の平面比較

Return

変更内容は、キャビネットの平面図・展開図、冷蔵庫と家電の設備表、コンセントを含む電気図、未決事項を含む打合せ記録へ戻します。パースだけ差し替えると、旧寸法が施工図に残るためです。

同じ課題を、どのツールで確かめるか

手段

得意な確認

不足する証拠

主な回写先

Jw_cad/AutoCAD

本体、開閉、通路、寸法レイヤー

高さ・体量・内装

平面図・家具図

住宅CAD/BIM

建築要素、平立断、属性の連動

現物の使い勝手

平立断・設備情報

SketchUp

特殊造作、内部形状、自由な断面

正式図面・製品条件

家具詳細図

Coohom

寸法調整、扉、2D/3D、見え方

金物・放熱・施工保証

検証記録から正本へ

メーカー/実寸

据付、点検、耐荷重、身体動作

多案の視覚比較

仕様・承認記録

 私の使い分けは、正確さと見え方を一つのソフトへ無理に集めないことです。Jw_cad/AutoCADは開閉と有効寸法、住宅CAD/BIMは建築要素との連動、SketchUpは特殊キャビネット、Coohomは内装を含む見え方と説明に向きます。最終的な放熱、点検、耐荷重、固定方法はメーカー資料、家具製作図、設備担当者の確認が必要です。

3Dで見つけた問題は、必ず正本へ返す


 図10 3Dで発見した突出し、圧迫、開閉、取出しの問題を平面家具図、立面展開図、設備電気図、仕様確認記録へ戻す関係図

「キャビネットを少し浅くした」「冷蔵庫を端へ動かした」という変更は、3D画面内で完結しません。平面図の奥行、立面図の見切り、電気図のコンセント、設備表の型番、仕上表の面材が連動します。B4の家具と家電が確定した後にコンセント位置を再確認する方法へつなぐのは、この回写後が自然です。収納と家電の位置が未確定なまま、電気だけを先に最適化しても再調整が増えます。

発見

変更先

同時に確認する項目

奥行・突出し

平面図/家具図

通路、見切り、壁際寸法

棚高・梁干渉

展開図/断面図

棚割、天井、下地、点検

家電位置

設備表/電気図

型番、容量、配線、換気、給排水

体量・見え方

仕上表/確認記録

面材、色、未決事項、承認範囲

 

Coohomを使う範囲、使わない範囲

Coohomは、キャビネットと家電を室内へ置き、寸法やスタイルを変え、扉を開き、視点を変えて説明する場面で力を発揮します。特に、CAD平面では伝わりにくい「冷蔵庫だけ前へ出て見える」「トールキャビネットが入口を重くする」「扉を開けると視界が切れる」といった関係を共有しやすいです。画面と機能は2026年8月14日時点で確認しており、施工条件は採用時の公式資料を優先します。

一方、次の判断はCoohomの画面だけで確定しません。

·  製作寸法・金物・耐荷重:造作家具図、金物資料、製作者の確認

·  放熱・換気・点検:家電メーカーの据付・取扱説明書

·  電気容量・配線・給排水:設備・電気図と専門担当者の確認

·  構造・法規・防火条件:建築CAD/BIM、仕様書、法令・審査条件

·  現物の使いやすさ:実寸、モックアップ、ショールーム、使用者の動作確認

3Dは完成を証明する道具ではなく、どこを次に確かめるべきかを早く見つける道具です。この境界を明記すると、画像の説得力が設計責任を追い越しません。

FAQ

収納は、平面図と3Dのどちらから始めるべきですか

持ち物と使用頻度を整理した後、CAD平面から始めます。奥行、扉、引出し、通路を寸法で確認し、その後に立面/断面と3Dへ進みます。3Dから始めると、見た目の整ったキャビネットへ持ち物を合わせる逆転が起きやすくなります。

家電の3Dモデルが見つからない場合はどうしますか

初期検討では、メーカー資料の幅・奥行・高さを持つ単純な箱で十分です。扉軌跡、放熱域、コード、点検域は補助形状で追加します。実商品モデルを使う段階でも、外形と商品情報をメーカー資料で照合してください。

キャビネットの扉を3Dで開ければ、通路寸法も確認できますか

開いた状態の理解には有効ですが、精密な有効寸法はCAD平面で測ります。3Dの人物モデルやカメラ移動は、身体衝突、荷物、複数人のすれ違いを自動保証しません。必要に応じて床へテープを貼るなど、実寸確認を加えます。

収納と家電の検討後、次に確認すべき図面は何ですか

家具図・展開図、設備表、電気図です。特にコンセント、専用回路、換気、給排水、点検スペースは収納変更の影響を受けます。仕上と実商品が決まる段階では、品番・納期・在庫・予算を扱う別工程へ渡します。

まとめ|収納は「入る」から「維持できる」まで確認する

収納と家電の検証は、収納量の比較では終わりません。持ち物と頻度を整理し、CAD平面で奥行・開閉・通路、立面/断面で高さ・梁・放熱・配線、3Dで取出し動作・突出し・体量を確認します。そして、発見を家具図、設備図、電気図、確認記録へ戻します。

最初の一歩は、現在の案から最も使用頻度の高い収納一組を選び、扉と引出しを開いた状態まで描くことです。そこへ家電のメーカー条件と人の立ち位置を重ねると、追加すべき図面と3D確認の目的が明確になります。間取り全体の検証順序を整理したい場合は、上位記事の間取りシミュレーションをCADと3Dで進める実務フローへ戻ると、本稿を動線・家具・光・視線の検証と接続できます。

参考資料

Kitchen & Bathのキャビネット配置・寸法調整(公式)

内蔵家電に合わせたキャビネット調整(公式)

キャビネット扉の開閉・開き方向(公式)